今日登場したのは東京へ進学したT君である。
すっかり秋の気配が感じられる中、
「8月から10月半ばまで夏休みや-」
と暇そうにやってきた。
そろそろ進路のことも考えなければならない時期なのだが
「将来どうするんやー」
「旅行業界か、アウトドアメーカーか、公務員」
とあまり真剣には考えていないようだ。
ま、こいつならどこでもやっていけるだろ。
それから数時間後1人の青年が玄関に現れた。
「こんにちはー」
「おおっ、えーと、誰や?」
「センセー、ひどいっすよー」
本当にわからんのである。
「Sです。S」
「え、Sって、あの色白で、ちっちゃくて、髪の毛はツンツンで、上下のスウェットばかり着ていて、全く落ち着きがなく、最近は近くの弁当屋でバイトをしているという噂のSか?」
「ぼく、どんなんですかー」
卒業後は電気工事の専門学校に行くらしいとのこと。
「また来ます」
と帰っていった。
ぜひ頑張って欲しいと思う。
それにしても、3年間、自転車で1時間もかけて高校に通うとこんなにも逞しく育つんだと思いつつも、
今思えば本当にアイツはSだったのか
という疑念が今でも晴れん。