心構えというものが必要なときもある

もうずいぶんも前から首の後ろの方に小さく突起物があった。
それ程気にはしていなかったのだが、ここに来て少し違和感がある。
押してみると以前より少し膨らんでいるような…
少し痛みもあるような…
もしかして、これは悪性の腫瘍ではないか?
今年は本厄だし、そうか、こんな事態が自分に待っているとは思いもよらなかった。

いろいろな不安が頭をよぎる。
住宅ローンはどうすればいいんだろう。
残された家族は?
そしてシオンは…

恐る恐る病院へ行く。
場合によってはそのまま入院の可能性もあるだろう。
外科に通され、診察が始まる。
引っ張ったりつねられたりした後、診察室に重い空気が流れる。

「ふーん…これは…別に悪性の腫瘍とかではないですよ。」

よかった。
これで住宅ローンも払える。
家族もシオンも大丈夫だ。

「切った方がいいですよ、大変になる前に。切りますか?」

「はあ…」

「じゃ、20分後に。」

まさか、こんなに早く手術するとは思わなかった。
心構えができないまま、除去作業が行われた。
20分くらいで手術終了。

ローンで首が回らないところに、さらに痛くて回らない。
しばらく不便な日々が続きそうです。

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